数年前に私がカラオケボックスの店長だった頃の話で、店舗で食中毒騒ぎがありました。
ある日の午前中にお客様からクレームの電話が入りました。
お客様「昨夜お宅の店で食事をしたら食中毒になった、他に具合の悪いお客からお店に連絡が入ってない?」
私「今のところそのような連絡は他のお客様から入っていませんが、宜しければ昨夜利用した部屋と何を食べられたか教えて頂けませんか?」
お客様にそのとき食べたものや、誰が食中毒となっているのか、病院へは行ってもらえましたかなど詳細を聞きました。
状況は一緒に来店した家族2人が朝から体調を悪くし、症状は食中毒だと診断されたとの事で、幸い入院までは至らなさそうな口ぶりでした。
病院での診断は「ノロウイルス」でした。
入院まで至らなかったのは不幸中の幸いで少しホッとしましたが、同時に気になったのが食中毒の種類です、ノロウイルスは確か潜伏期間が2日前後くらいと言われています。
食中毒は潜伏期間が短くすぐに発祥するものもあれば何日も潜伏してから発祥するものなど様々です。
菌などが特定できれば菌を口にした時間がある程度特定できます。
今回は「ノロウイルス」と特定され、お客様が昨夜22時頃食事をし翌朝5時にはもう体調を崩していたとの事、時間的には5~6時間で発祥したことになる。
これは他の場所で感染した確率が高い、しかしお客様は私の店舗で食事して数時間で食中毒にかかり、絶対に私の店舗の食事が原因だと思い込んでいる。
お客様には自宅に伺い直接話して誠意ある対応が先決になる、同時に原因が私の店舗ではない可能性が高い事を理解してもらう事でした。
本日にでもご自宅にお詫びに伺えないかを確認し、夕方にお客様のご自宅にお見舞いとお詫びを兼ねて伺う事に。
念のため保健所には連絡を入れたところ、すぐに営業は取りやめなくて結構です。
状況からするとそちらのお店ではなく他で発生している可能性の方が高いと思われ、詳細を聞きたいので保健所へ来てくださいとの事でした。
保健所では顛末を説明しノロウィルスの潜伏期間の話や、店舗で他に食中毒が出ていないか等を簡単に聞き取られましたが、特に指示はなくスタッフや他の方から食中毒などの症状が出たら報告下さいとの事でした。
夕方近くになり連絡があったお客様のご自宅に伺いました。
こちらでも病院から「ノロウイルス」は潜伏期間が個人差はあるものの24時間~48時間後に発症するケースが多いと説明を受けていて私の店舗で食中毒が発生している可能性が低い事を理解してくれていました。
発生源はわかりませんが、結局ここの家族全員が「ノロウィルス」に感染していたそうです。
店舗では昨夜この家族が利用した部屋を中心に消毒がなされていますが、今回は取り越し苦労で済みました。
食中毒ウィルスの潜伏期間
化学物質
ヒスタミンや農薬などの化学物質は口に入れたらすぐに症状が出るケースが多く、潜伏期間は数秒~2,3時間。
自然毒
フグ毒や毒キノコなどの自然毒も口に入れたら数秒~数時間で症状が出ます。
腸炎ビブリオ
7時間~24時間程度の潜伏期間を得て症状に現れます。
サルモレラ属菌
7時間~3日程度の潜伏期間を得て症状に現れます。
ノロウィルス
24時間~48時間の潜伏期間で症状に現れます。
カンピロバクター
2日~7日と潜伏期間が長く、生の鶏肉などを扱った手や調理器具などから感染しやすく最近は特にこの感染経路でカンピロバクターの感染患者が多く確認されています。
*生の鶏肉を切った包丁で洗わずにそのまま生野菜などを切ったり、手を洗わず冷蔵庫の取っ手などを触ってしまう、次に冷蔵庫の取っ手をさわった人の手にカンピロバクターが付着、他の人の手や食材に移ったカンピロバクターを口にしてしまう等。
*食中毒菌やウィルスの潜伏期間は摂取量や個人の体力によって差が出ます、上記はあくまで目安なので症状が現れたら専門の医師に相談して下さい。